今回はエリック・クラプトンの映画です。

この映画イギリス制作のこの映画には、音楽のことはほとんど出てきません。だから、エリック・クラプトンを知らない人が観ても退屈しないドキュメンタリーです。映画は本人によるナレーションで進行しますが、かなりショッキングな内容です。どうしてこんな映画を作ったんだろう。2018年公開ですが、新潟では上映されなかったので、東京で初日に観て来ました。有楽町の TOHO シネマズシャンテ、全席完売でした。彼に憧れてギターを弾き始めた少年は数え切れないはずで、私は唯一無二のギタリストだと思っています。でも、そのことを知らないと、ただのゲス野郎のボロボロの人生を見せつけられて、映画は終わってしまいます。

　エリック・クラプトンが生まれた時、母親はまだ16歳で、未婚の母。彼が２歳の時に、母親は別の男性と駆け落ちしてイギリスを離れます。祖父母を両親、実の母親を姉だと信じて育った彼は、７歳の時に出生の秘密を知ります。９歳の時、母親が新しい家族を連れて帰国。「ママって呼んでもいい？」と尋ねた彼に、母親は今まで通り祖母をママだと呼ぶべきだと答えます。母親に二度拒絶されたという思いは、後の彼自身の恋愛観に大きな影響を及ぼします。

　10代で、彼はラジオから流れてくるロックンロールに夢中になります。祖父母にアコースティックギターを買ってもらい「ギターを引いている時だけ、すべてを忘れられた」と。17歳でプロ活動を始めて、数年後には"Clapton is God"と呼ばれます。

　　「一番後悔しているのは、ジョージ・ハリスン（元ビートルズ）の結婚生活に関わってしまったことだよ」ジョージの妻だった、ブロンド世紀の美女パティ・ボイド（ハリスン）がエリック・クラプトンの誘いを拒絶したことで、エリックは3年間放浪しますが、その後パティと略奪婚をします。その間にマリファナ→コカイン→ヘロインと、より強い刺激を求めたエリックが行きついたのは、本人が最ももっと恐ろしいと言うアルコール依存症でした。彼はアル中で家族も世間の評価もすべてを失います。本人はその理由を「自殺しなかったのは、酒が飲めなくなるからだ」ジョークにならない。笑えない、本末転倒です。実際、パティとの結婚生活は泥沼状態でした。エリックはレコーディング・スタジオの女性マネジャーとW不倫の結果、彼女との間に娘のルースが産まれました。また別のイタリア人モデルは、彼の長男コナーを出産しました。結局、パティとの結婚生活は破綻します。

　そして、最愛の息子コナーが超高層マンションから転落死…

　それでも、生きていればどうにかなるものです。最後は映画で観てください。