|
 |
昨年、親友が死んだ。心筋梗塞だった。享年48歳。
…彼とは新潟高校の同級で、学生時代はバンド仲間でした。一周忌の時に、奥さんと二人の娘さんから、彼が持っていたＤＶＤを頂きました。ライヴ・エイド。1985年にロンドンとフィラデルフィアで同時に開催されたポップ・コンサートです。史上初めて全世界同時に衛星中継され、豪華な出演者とスケールの大きさでも史上空前でした。300万人以上の人々が深刻な飢饉で死んでいたアフリカへのチャリティー・イべントで、当時の金額で8000万ドル以上が集まりました。もちろん参加したアーティストはすべて無償でした。主催者であるボブ・ゲルドフはブームタウン・ラッツのメンバーでしたが、彼がライヴ・エイドに忙殺されバンドは解散状態に追いやられ、彼自身はこのイべントの功績により女王陛下よりナイトの称号を与えられました。ボブ・ゲルドフは当初、法律上の理由で再放送どころか撮影さえも認めなかったので、2004年になって初めてDVDで発売されました。当時日本でも同時衛星中継でテレビ放映されたので、その頃赤貝の肝にあたりＡ型肝炎になっていた私も、黄色くなった目をこすりながら徹夜で中継を見ました。20年振りにこの4枚組のDVDを見て、当時自分で録画したビデオを引っぱり出してみました。見直してみると、まずあまりのCMの量に驚き、その上何度も衛星中継が中断しています。1980年代は携帯電話どころか、まだFAXもほとんどない時代でした。日本の司会は逸見政孝さんで、ロンドンのオープニングはダイアナ妃というのも時代を感じさせます。ビデオは3倍速でしたが、160分テープに丸々2本で何と16時間分ありました。でも生で録画したので、市販のDVDではテープの紛失や著作権の問題のため収録されなかったアーティストや曲が色々入っていました。トリはポール・マッカートニーで、曲は「レット・イット・ビー」。横ではデヴィット・ボウイがコーラスをつけていますが、何とマイクの音声が入っていなかったのでピアノの演奏しか聴こえません。もちろん市場に出たDVDでは修正されていました。他にもエルトン・ジョンやエリック・クラプトン、そしてローリング・ストーンズのミック・ジャガーもソロで出演していました。
昨年、同じくボブ・ゲルドフによって、G8と同時開催でライヴ8が行われました。20年振りに全世界８都市で行われた世界で最も偉大なショウは、日本でも衛星中継され全世界で十数億人が見たと公式発表されました。ライヴ・エイドでは収益を送っても何も事態は変わらなかったので、ライヴ8では8ヶ国首脳にアフリカの借金の帳消しや援助金の増額をアピールすることが目的でした。今回はトリばかりか、何とオープニングまでポール・マッカートニーでした。ビートルズでデビューしたのはもう43年前です。2005年の北米でのコンサート興行収入では、ローリング・ストーンズが1億6200万ドル（約190億円）を稼いで堂々の1位でしたが、4位は7730万ドルのポール・マッカートニーでした。ライヴ8にはエルトン・ジョンも出演しました。デヴィット・ボウイやエリック・クラプトンの新譜は今もベスト・セラーです。ベテラン大物アーティストは健在です。
…もっと若いアーティストはいないのか。
何だか気になって医師会の名簿をめくってみました。監事で孫煩悩の中村康夫先生は1942年生まれです。61歳で子供を作り、3人の孫も居るポール・マッカートニーも1942年生まれで、ミック・ジャガーは1歳年下です。1980年12月8日、狂信的なファンに射殺された元ビートルズのジョン・レノンは1940年生まれですから、会長でいつもご多忙な大川賢一先生や寡黙な議長の藍沢修先生より1年後輩で、オーディオ・マニアの木滑孝一副会長の2年後輩です。開業医でヴァイオリニストでもある佐野正俊副会長は1945年生まれで、ギターの神様と呼ばれるエリック・クラプトンと同い年です。何だかおもしろくなってきたので、続けてみます。人間味あふれる鈴木好文監事は、ローリング・ストーンズのベーシスト、ビル・ワイマンと同じ1936年生まれです。理事でご夫婦円満の永井明彦先生は、大島渚監督の「戦場のメリー・クリスマス」に出演したデヴィット・ボウイや、最近ゲイであることを告白したエルトン・ジョンと同じ1947年生まれです。その1年後には、がんセンターの守護神、椎名真理事が、2年後には、いつも紳士的な広橋武理事とラーメン・フリークの浅井忍理事が生まれています。ライヴ・エイドとライヴ8を成功させて、今年のノーベル平和賞候補に推薦されたボブ・ゲルドフは1954年生まれで、理事会のお姫様、佐藤弥生先生や永遠の野球少年である成澤林太郎理事、理事会のホープ、藤田一隆先生、カー・マニアの金徳弼理事より1歳年上です。ゴルフ、テニスとスポーツ万能の庄司義興理事はこのノーベル平和賞候補より1歳年上、登山家の月岡恵理事は2歳年上です。どの先生も日々の診療、若手医師の教育や指導、そして医師会の役職をバリバリとこなしている凄い人たちです。
…何だ、医師会もライヴ・エイドだった。もっと若い医師はいないのか。
新潟市医師会報 2006年12月 第429号 |
